密告・告発手紙の書き方

密告・告発手紙の書き方

密告・告発手紙を書くときに気をつけたいポイント

職場や学校、地域社会の中で「どうしても伝えたい問題」や「改善してほしい事実」に直面することがあります。
その際に、直接相手に言いにくい場合や、トラブルを避けたい場合に「匿名の手紙(いわゆる密告・告発手紙)」という方法を選ぶ方もいるでしょう。

ただし、内容や書き方によっては思わぬトラブルや法的リスクにつながることもあります。
今回は密告・告発手紙を書くときに気をつけたいポイントをまとめました。


1. 事実と推測を分ける

もっとも大切なのは「事実に基づいて書くこと」です。

・日時や場所、状況を具体的に書く
・「見たこと」「聞いたこと」は事実として整理する
・「こうに違いない」という憶測は避ける

感情的な断定や思い込みは、信頼性を大きく損ないます。
事実ではない事柄を断言してしまうと「虚偽」となり、あなたは「相手を不当におとしめようとしている人物」とみなされます。

また、名誉毀損や虚偽告訴などの法的リスクが非常に高くなります。

よって、裏が取れていない(第三者に提示できる証拠がない)情報を記す際には必ず推測情報であることを記してください。
不明瞭な情報を断言すると危険です。以下のように前置きをしておくと良いでしょう。

(書き方の例)「これは証拠などはございませんが~」「あくまでも状況から見た推測となりますが~」


2. 冷静で丁寧な文章にする

怒りや不満のまま書いてしまうと、攻撃的な文章になりがちです。
「改善していただきたい」「調査をお願いしたい」など、依頼のスタンスでまとめると伝わり方が変わります。

私は依頼者さま持ち込みの文章をリライトするのですが、ありがちなのは以下です。

  • 時系列がわからない
  • 改行がない
  • 句読点がなく長文が続く
  • 誰の発言であるかわからない

以上。

誰かが発言した台詞についてはかぎかっこ「」をつけると判読しやすくなります。


3. 個人のプライバシーや名誉を侵害しない

手紙に書く内容が「事実かどうか」が分からない場合、それは単なる中傷になってしまう可能性があります。
特に不倫・私生活・病歴など、プライバシーに関わる内容は慎重に扱いましょう。


4. 送付先を正しく選ぶ

手紙を送る相手はとても重要です。

・会社ならコンプライアンス窓口や上層部
・学校なら教育委員会や相談窓口
・公共機関であれば行政や監督機関

関係のない第三者に送ると、問題がこじれることもあります。
かならず本人や本人に関わる相手に送付します。


5. 匿名か実名かを考える

匿名で伝えたい場合は、筆跡や文体から身元が推測されないように注意が必要です。
ただし、本気で改善や調査を求める場合は、実名や連絡先を記した方が信頼性は高まります。


6. 証拠があれば添える

録音・写真・メール履歴など、客観的な証拠があると説得力が増します。
ただし、盗聴や不正アクセスなど違法に取得したものは使用できません。
正当な方法で入手した証拠だけ添えて(同封)してください。

証拠があっても事情により同封したくない場合は「証拠を保有している旨」だけ伝えるのも効果的です。

なお、USBは「ウィルスが入っているかも?」と怪しまれるため避けてください。

7. 可能な限り「個人あて(親展扱い)」で送付する

密告・告発したい内容が非常に繊細である場合、個人宛として送付してください。
親展印を必ず封筒表に押すということです。
コンプライアンス部門であっても「〇〇担当者様」や「室長」「代表者様」など個人名義にしてください。
そうしないと部署内の誰かが勝手に開封するおそれもあるためです。
部署宛と個人宛は異なります。また、あなた(密告・告発者)がマナーに配慮しているという姿勢を伝える要素にもなりえます。


困ったらご相談ください。

密告・告発手紙は「相手を懲らしめたい」ためではなく、あくまで「正しく改善してほしい」「公正な調査をしてほしい」という思いを伝えるために使うものです。事実ベースで冷静にまとめ、適切な送付先を選ぶことで、トラブルを避けつつ問題解決につなげることができます。

当記事を執筆したのは「自分で手紙を書いて送ったらトラブルに発展した」という相談が寄せられているためです。
無用なトラブルを避けるためにも本記事を執筆・公開いたしました。
なお、発送方法・頻度についても注意していただきたく願います。
なぜなら、密告・告発手紙には「改正ストーカー規制法」が関係するためです。
「どういう意味なの?」と思われた方は専門家、または当事業所にご相談ください。

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